ささやかな幸せ
「ささやかな幸せ。」
それは美味しいご飯が毎日食べられること。
寝る場所があること。
散歩中に、雨に降られないこと。
そういう当たり前にある、他人からすれば大したことのない、何気ないものがささやかな幸せなんだと思う。
でも私にとってそれは、毎朝猫が呼吸していること。暖かいことだ。
うちの猫は元気だが、高齢猫である。17歳。もうだいぶ生きたと思う。でもまだまだご飯も食べるし、おやつもねだる。
しかし、寝る時間は増えたように思うし、昔に比べると「痩せたな」と思う瞬間がある。背中や顔に触れた時、抱き上げた時の、凸凹した背骨や、軽くなった身体に。
病院に行くと、「高齢猫に見えませんね」と言われるほど元気なうちの子だが、ふとした時に見せる顔や、衰えた身体に、年齢を感じずにはいられない。
朝起きて猫の姿を探す。
そしてゆっくりと上下する腹に安心する。
私のささやかな幸せは、いつまで続くのだろう。
大きな幸せはいらないから、この時間が、まだしばらく続けばいいと思う。