俳優に恋をした。
「恋」
そう呼べるかもわからない、一方的なこの感情。
インスタライブがあれば時間を空けて見に合ったし、グッズを出すといえば購入した。
あなたのことが少しでも知りたくて、ネットであなたのことを検索した。身長が高い。年上。そして、たぶん、恋人がいる。
その人を知ったきっかけは、私の好きな作品の舞台に出演していた。ただそれだけ。
他のミュージカルや舞台にも出演すると知ってからは、チケットを取らなかったことを後悔した。でも原作をよく知らない私が行くのは、原作ファンに失礼かな。原作を読み返す時間もないし、とよくわからないことを考えたりもした。
これは恋なのだろうか。
更新されるSNSに、あなたの姿を探す。
動画サイトでは過去の出演作品のプロモーションを見続けた。
可愛くて、愛おしい。歳が上の俳優に、こんなこと言うのもおかしいけれど、可愛いと思った。
以前、ネット配信者に恋人がいると話題になった。
その配信者にはガチ恋勢と呼ばれる、熱狂的なファンが多くいた。
その時のガチ恋勢の様子に少し引いたのは記憶に新しい。
「会ったことない人を好きになるなんて」
「その人のなにを知っているの?」
「投げ銭してくれる相手なんて、お客様でしかないでしょう」
いろいろなことを思った。貢ぐ努力を同じ土俵に立つ努力にしたら良かったのに、とも思った。
今、愛しいと思うようになって、分かった。
恋は落ちるもの。理屈ではなく、頭で考えるより先に落ちている。
私はこの気持ちを大事にしたい。
思ったところでどうなるわけでも、どうにかなるものでもない。不毛な恋とはよく言ったものだ。
恋人にもなれない。結婚もできない相手への恋。
私と、その人は、友人ですらなく、交わることのない平行線を歩んでいる。
でもこの気持ちは、私を前へ向かせ、前へ進ませてくれた。恥ずかしくない自分でいよう。少しでも素敵な自分でありたいと、人と関わること、新しいことへの挑戦を後押ししてくれた、この気持ちを大切にしたい。
その人が今も、これからも、幸せであればいいと思う。
今後、俳優をいつか辞める時が来るかもしれない。そうしたら、本当にお別れだ。私が相手を見たり、聞いたりすることは2度となくなると思う。
それでも、その人が幸せであればそれでいい。
ファンとして、あなたを愛する1人として、あなたの幸せを願ってる。